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エルシノアやTYなどオフロードバイクの名車が続々登場した時代
1960年代末から大排気量大型車で世界の2輪業界をけん引する立場になった日本勢だが、オンロードスポーツ車に続き新たに力を入れ始めたのがオフロードの分野である。
もっとも1969年にヤマハがDT-1/AT-1を発売して以来、日本のオフロード車は急速な進化を遂げていたのだが、その進化に拍車をかけたのが、ホンダが四半世紀ぶりに新規開発した2ストローク車、1972年型/1973年型エルシノアだった。
ホンダ エルシノアはモトクロッサーのCR250M/CR125Mと、公道版MT250/MT125が同時開発

モトクロッサーのエルシノアCR250M/CR125M、保安部品付き公道モデルのエルシノアMT250/MT125が同時開発された(エルシノアMT250/MT125ホンダは公道モデル初の2ストロークエンジン車となった)。CMには映画スターのスティーブ・マックイーンが起用されたことでも有名。

公道モデルのエルシノア。エンジンは空冷2ストローク単気筒で、最高出力23馬力を発揮した。国内版は1973年の登場。
バイアルス、TYとトライアルの名車たちも登場
また1973年は日本の「トライアル元年」とも言える年で、ホンダはバイアルスTL125、ヤマハはTY250を発売。
この2台で画期的だったのは、バイアルTL125にサミー・ミラー、TY250にミック・アンドリュースと、開発に関与したトライアル選手の名前をPRの前面に押し出したこと。
翌1974年に登場したスズキRL250(ゴードン・ファリー)、カワサキKT250(ドン・スミス)でも、同様の宣伝活動が行われた。

日本初のトライアル車として知られるTL125。トライアル車では定番だった2ストではなく、あえてホンダは4スト単気筒を選択した。1975年には250cc版が登場。

海外では1973年、日本では1974年に発売が始まったヤマハ初のトライアル車。開発ベースはDT250だが、ほとんどの部品は新規製作された。
レポート●中村友彦 編集●モーサイ編集部・上野
*本記事は旧車二輪専門誌『モーターサイクリストCLASSIC』2019年4月号に掲載されているものを再構成・編集しています。