スーパーカブC100系をベースに誕生した直後から、ハンターカブシリーズが持っていた大きな特徴は、通常走行時とトレール走行時で減速比の切り替えができるメカニズムである。ここでは初期のダブルスプロケットのメカニズムを詳しく紹介していこう。
文/神山雅道
※本記事は旧車二輪専門誌 モーターサイクリストCLASSIC2018年4月号に掲載されているものを再編集しています。
ダブルスプロケット機構の使い方
当初、backwoods gearing(未開拓地や森林奥地用の減速比を表す)の大型スプロケットのみ装備し、使い勝手の悪さを招いたトレール50だったが、すぐにこれを改め、状況に応じ2種の減速比変更ができる機構を採用。
こうして生まれたのが、初期のハンターカブを象徴するダブルスプロケット方式だった。
今回、ダブルスプロケットの掛け替え作業を実践したのはCT200。
アメリカからの里帰り車で、一部塗り替えされているものの全体的に程度は良好。エンジンは遠心クラッチ不調のため、同系のC200用に載せ替えている。
大小2枚のスプロケットは、どのようにマウントされているのか。
後方から見ると、その様子がよくわかる。通常走行用のスプロケットの内側に、大きくずらして大型スプロケットがボルトで専用のハブに固定されている。
1:掛け替え作業は、大型スプロケットの固定ボルトを緩めるところから始まる。
この際、ギヤを入れておくと後輪が回転しにくくなり緩める作業が確実に行えるが、チェンジペダルのところまで行ったり来たりするのが面倒でもある。
2:チェーンのクリップを外し、切断する。
先に大型スプロケットのボルトを緩めたのは、チェーンを外すとギヤを入れて後輪が固定できなくなるため。外したチェーンの下にウエスなどを敷き、汚れないように配慮したい。
3:大型スプロケットを外側にずらし、通常走行用に重ねるとぴったり合う。
つまり、チェーン掛け替え機構を生かすとなると、通常走行用の歯数が一種類に限定される(40T)ということでもある。大型スプロケットの歯数は標準で68Tが装着されていた。
4:ハブに固定していたボルトとナットを利用し、大型スプロケットを通常走行用に締結する。
スプロケットは薄く、歯先がとがっているため手を傷つけないように。
こうした形状のため、ボルトを入れる際にずれやすく保持がやや難しい。
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