ヒストリー

いま見ても衝撃のスタイル! 2000年代に登場した唯一無二のスーパースポーツ、KTM 1190 RC8を解説!

 

KTM 1190RC8ヒストリー

‘50年代前半に創業して数年後にはロードレースにも参戦し、’70〜80年代にかけてはエンドュ―ロで大活躍したオーストリアのKTM。
紆余曲折あって’91年に倒産するも、’92年に復活した後は、MX500で世界を制し、’03年には世界GP125㏄クラスに参戦してロードレースにも復帰する(その後250㏄クラスにも参戦)。

積極的なレース活動と並行して『READYTO RACE』の理念の下、ロードスポーツやオンオフモデルにも力を注ぎ、単気筒のデュークシリーズに加え、新開発の水冷Vツイン=LC8エンジン(ボア・ストローク100×60㎜の942㏄)を積む950アドベンチャーを’03年にリリースする。
さらに’05年には、アドベンチャーのLC8エンジンをベースに、排気量を上げ性能の大幅向上も実現した水冷Vツインをクロモリ鋼管トレリスフレームに搭載する990スーパーデュークを市場に送り出す。
同車はKTMとして初の本格的な大型ロードスポーツであった。

その後KTMは’06年に950アドベンチャーと基本を同じくするVツインを積むスーパーモタードの950スーパーモトを開発して発売し、また、各車にハイグレードな足まわりをなどを与えたRバージョンを加え、LC8=水冷Vツインを積むモデル群の拡充を図る。
そうした一連の流れのなかで、KTMのロードスポーツシリーズの頂点を目指して生み出されたモデルが1190 RC8だった。

RC8はKTM初の大型SSであり、スーパーバイク世界選手権=WSBへの挑戦も視野に入れての新機種だったため、開発には時間を要した。
初めてそれが披露されたのは’03年の東京モーターショーで、その試作車はエッジを利かせた斬新かつ個性的なデザインで注目を集めた。
しかし市販化が決定されたのは約1年半後の’05年6月で、そこから完成まではさらに2年あまりの歳月が費やされた。

量産型の1190 RC8がデビューしたのは’07年のミラノショーだった。
’03年に発表された試作車のイメージを受け継ぐデザインの車体に搭載されたVツインは、ボア・ストローク103×69㎜=1149ccまで排気量が拡大されており(試作車はスーパーデュークと同じ999㏄だった)、155ps、12.2kgmの高性能を実現していた。
従来のLC8をベースとしながらも、第二世代のRC8専用LC8エンジンへとチューンアップされていたのである。

一方、フレームはクロモリ鋼管とアルミ製シートレールの組み合わせで、フルアジャスタブルの倒立フォーク&リヤモノショック、ラジアルマウントのフロントブレーキディスクなど、スーパースポーツにふさわしい足まわりが与えられていた。
そしてショー発表から約半年後の’08年には販売もスタート。
日本では’08年5月に発売となっている。

その1年後の’09年5月には上級バージョンであるRC8Rが登場する。
同車に搭載されるVツインはWSBの2気筒エンジンの排気量上限(1200㏄以下)をにらんで、ボアを2㎜広げて105㎜とし、1194㏄の排気量を得て性能も170psへとアップ。
また、アルミ鍛造の前後ホイールなど、よりグレードの高い足まわりが採用されている。

RC8もRC8Rも基本的な構成やデザインは共通で、ひと目でそれと分かる魅力的なスタイリングと十分な性能によって日本でも熱いファンに支持されているが、今後さらなる戦闘力と完成度の向上が予想されるKTMのスーパーバイクシリーズである。

 

2003 RC8(プロトタイプ)

’03年秋の東京モーターショーにて発表されたKTM初のスーパースポーツ。
この時点では1190の数字は車名に入れられていなかった。
’08年春の発売まで4年半の歳月が……。

 

2005 990スーパーデューク

950アドベンチャーのVツインを基にボア・ストロークを101×62.4㎜へと拡大して999㏄とし、120psを得たエンジンを載せて登場したストリートファイター。168万円。

 

2006 950 スーパーモト

950アドベンチャーと基本的に同じVツインを積むスーパーモタード。
ホイールは前後17インチで、サスは倒立フォーク&モノショック。出力は98ps。
価格155万4000円。

 

2007 990 スーパーデュークR

’05年に発売されたスーパーデュークは細部を刷新しつつ造り続けられ、’07年にはハイグレードな足まわりを装備するRバージョンもラインアップ。
価格は172万2000円。

 

2008 990 スーパーモト

950スーパーモトの後継車で、スーパーデューク/Rと同じ999㏄エンジンを搭載し細部もリファインして登場。
出力は116psで、半乾燥重量は約191㎏。価格161万7000円。

 

2008 RC8

日本では5月に発売されたRC8の’08年型ホワイトカラー。
その後、車体色はオレンジのみに。
排気量1149㏄で出力は98ps(フルパワー仕様は155ps)。199万5000円。

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モーサイ編集部

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