多種多様のバイクが発売されているなかで、どの車種が自身にとっての「アタリ」なのか?
そればかりは他人がとやかく言えることではなく、自分自身で感じ、選び取るものだろう。
とはいえ、そうそう「これは持ち続けたい!」と思うほどぞっこんになってしまうバイクと出合えるものではない。
今回は弊社二輪事業部に所属する編集部員の、ずっと持っていたいと思う車両を紹介しよう。
編集部員がピックアップしたのは人気車だけでなく、世間一般的にレア車やマイナー車と呼ばれる車両も含まれているかもしれない。しかし、どれも自身の感覚とマッチした車両ばかり。それは各スタッフの、暑苦しいくらいに情熱たっぷりなコメントに如実に表れているのではないだろうか。
report:日暮大輔
生涯で地球10周分以上走りたい スズキ・GSF1200S(1996年発売)
MCや別冊MCの誌面上でも、やたらと登場させてきた我が愛車。
運命を感じさせたのは発売日が私の誕生日と同じ2月29日(ご存じ、4年に1度しか来ないうるう年ならではの日ですね)だということ。よりによってそんな日に……とリリースを二度見して内容を精査してみると、GSX-R1100の心臓をさらに排気量拡大、なのに最大トルクをたったの4000回転で発生するという超変態的エンジンは95年1月登場のGSF1200そのままに、クラッチが改良され、グラブバーも新採用しているではないか。
何と言ってもカッコイイのか悪いのか、いまだに判断が付かないデザインのハーフカウリングが装備されたとあっては、もう購入するしかなかった。
以来、23年以上。エンジンをかけてガチャンとギヤを入れ、クラッチをリリースするたびドキドキする。
いつだって右手のひとひねりだけでフロントタイヤは簡単に離陸するし、リッターオーバーモデルとは思えないショートホイールベース(1435㎜)で峠道もクルクル。ブリヂストンのバトラックスT31を装備してからは“公道無双”感がより増した。
終(つい)のバイクとして手放す気はさらさらなく、オドメーターも現状たったの14万3937.3㎞しか回っていないので、この3倍は共に走っていきたいところだ。
(モーターサイクリスト編集部・小川)
GSF1200S
当時価格:81万8000円
エンジン:油冷4サイクルDOHC4気筒
車重:210kg(乾燥)
全長2105×全幅785×全高1210 軸距1435(各mm)
最高出力:97ps/8,500rpm
最大トルク:9.8kgm/4,000rpm
便利すぎて困る ホンダ・スーパーカブC100(1963年式)
1958年に登場した初代スーパーカブの’63年モデルを現在所有しているが、これはおそらく生涯手放すことはないかもしれない。
お気に入りポイントのデザインは、カブシリーズではこの初代こそ至高(と思っている)。車体サイズも初代が一番小ぶりで気兼ねなく乗れる。
2006年にボロボロの不動車を2万円で買ってきた。
壊れていたエンジンはオーバーホールして復活、排気量を55ccにして原付二種登録とし、街中での煩わしさを解消した。
さらに荷台にはフリマで買った昭和の木箱を付けて利便性もアップ。酒を買いに行くと瞬時に酒屋の備品と化してしまう愛らしさまでプラスしてしまった。
ガレージの一番手前に置いていつでも乗れるようにしている。便利すぎて、ほかのバイクに乗るのが面倒になるのがデメリットになるかもしれない?
(モーターサイクリストクラシック編集部・神山)
スーパーカブ・C100
当時価格:5万5000円
エンジン:空冷4サイクルOHV単気筒
車重:55kg
全長1790×全幅575×全高945 軸距1180(各mm)
最高出力:4.3ps/9,500rpm
最大トルク:-
これで十分かもしれないと思っちゃう ホンダ・モトコンポ(1981年発表)
もはや車両についての解説は必要ないのではないか? そう思うほど認知度を誇っているホンダ・モトコンポは、生涯持ち続けたいバイクの1台だ。
知人から超安価で譲り受け行きつけのクルマ屋さんでレストアしてもらったのだが、乗ってみて思うのが「近所の散歩に最適かもしれん」ということ。
そもそもクルマに積んで目的地での移動に使用するためのバイクだから、近距離移動に特化していることは間違いないと思う。
ホイールベースが短めなので、個人的には速度が出た際の動きが超クイックに感じる。だからこそ自転車のポタリング的に走るのが最適と思えるのだ。
実際に走ってみても、他のバイクよりも妙にまったりした気持ちで乗っていることが多いし、周囲の反応も概ね好評。以前、厳ついお兄ちゃんが「おー、モトコンポだ」と妙にニコニコしながらこっちを見ていたこともあったくらいだから、傍から見ていても可愛らしいバイクなのは間違いないだろう。
乗り味だけではない。車体に盛り込まれた数々の独自機構や小型軽量の車体サイズなど、生涯手元に置いておきたいと思える要素がてんこ盛り。そしてなにより、発売年が自分が生まれたのと同じ年であるということが、所有欲をさらに満たしてくれるのだ(年齢がばれるなぁ……)。
おそらく歳を重ねても手元に置いておくだろう。そんな魅力が、コイツにはあるのだ。
(モーサイ編集部・日暮)
モトコンポ
当時価格:8万円
エンジン:空冷2サイクル単気筒
車重:45kg
全長1185×全幅535×全高910 軸距830(各mm)
最高出力:2.5ps/5000rpm
最大トルク:0.38kgm/4,500rpm
これがメチャクチャ面白い! ハスクバーナ・モーターサイクルズ VITPILEN 701(2019年式)
余程バイクが好きで、海外メーカーにも興味がある人じゃないと知らないであろうVITPILEN 701(読み方はヴィットピレン)。
世のベテランライダーや編集部の先輩方が手放したくバイクはNSR250RだとかΓだとかGPz900Rだとか、過去に一世を風靡した伝説バイクばかりであろうが、今年23歳になる私はそういったバイクは所有したこともないし、触ったことはおろか実車を拝んだこともない。
だから若造代表としてこいつを挙げる訳だが、単車はこいつが2台目だし現在所有している単車はこいつだけなために必然的に701について書くしかない(そもそも同世代の若造共で複数台持ちできる程金がある人は少ない訳で……)。
このバイク、端的に言うとめちゃくちゃ面白い。トルク感もスポーツ走行の具合も見た目も、私を肩肘張らず楽しませてくれる可愛いやつ。
デザインが気に入らないだとか単気筒のくせに値段が高いだとかの意見も巷にはあるが、私はそれらをはねのけ胸張って今後も乗っていくつもりだ。
(モーサイ編集部・佐藤)
VITPILEN 701
メーカー希望小売価格:135万5000円(税込)
エンジン:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
半乾燥重量:約157kg
最高出力:55kW/8500rpm
最大トルク:72Nm/6750rpm
いかがだっただろうか?
引き続き後編でも、編集部員の「これは手放したくないっ!」というバイクを紹介していく予定だ。