必ずそうとは言えないが、他人と持ち物が被るのを嫌う人は多いと思う。
いや「カブだけに?」とかツッコミはいいですから(汗)。
では、カブにオリジナリティを持たせるコンバートキットが出ていたことはご存知だろうか?
今回はその一部をご覧いただこう。
コンバートキット車など
’58年の登場以降、気軽に乗れる車格や操舵性、高い経済性も手伝って世界的ヒットモデルになったスーパーカブ。
あちこちで同好の士と出会えるうれしさを感じる一方で、愛車と同じ仕様の車両を見掛けると「もっとオリジナリティが欲しい」と思うオーナーもいたことだろう。
そんな気持ちが今日のカスタムカブ文化誕生につながったのだろうが、一時期はそんな要望に応える純正コンバートキットが販売されていた。
メジャーなのは「新世代のタウンクルザー」と銘打ち、’90年代初頭に販売されたCabra(カブラ)。
ノーマルボディにオリジナルのサイドカバー、シート、レッグシールドなどを装着することで、基本性能はそのままにエレガントなスタイルに変身させた。
しかし、最初にコンバートキットが販売されたのは’67年のアメリカだった。
CTシリーズ誕生の経緯からしても、彼の地でカブはビジネスというよりレジャー寄りの立ち位置にあり、ファッション的なカスタム需要も高かったのだろう。
ボルトオンで簡単に換装でき、その仕上がりはノーマルとは一線を画すものだった。
ここではその内の2モデル、「RALLY」と「STUDENT」を紹介していこう。これらのほかにストリートスクランブラーのイメージをねらった「BOSS」と、スポーティにまとめた「ROADSTER」の2種類を含めた計4種類が販売されていた。
RALLY C102
RALLYキットを組んだことでツーリングラリー風にまとめられた1台。
搭載車はセルモーターを備えたC102。
キット内容は「フューエルタンク」、「セミダブルシート」、「パイプハンドルキット」に大別でき、フロントまわりは意匠の違うCM90風となっている。
ハンドルはSS50風のアップハンドルを採用。
ハンドルの高さが変わるため当然のことながら、ワイヤー類の交換も必要となる。
またシートのほうまで橋を架けるように取り付けられるロングタンクも同車のポイントのひとつ。
STUDENT C105
軽快さとシンプルさを意識した「STUDENTキット」が組み込まれたC105。
レッグシールドが簡素化されながらもホンダのウイングマークが付いたことでさり気ないオシャレアピールが可能。
レッグシールドがなくなるので本来はエンジンがむき出しになるところだが、格子状のカバーを装着してエンジンを覆っている。
ただし、プラグやオイルの交換がしやすいような配慮がされている。
レッグシールドの代わりに細身のフレームカバーで、トップチューブを保護。
両サイドには樹脂製のエンブレムが装着される。
形状などからモンキーZ50Mのタンクエンブレムと共通と思われる。
メーターまわりはノーマルのまま。
RALLY、ROADSTER、BOSSの3つはすべてアップハンドルを採用しており、ノーマルハンドルを生かすのもSTUDENTキットの特徴と言える。
その他の派生車(?)たち
カブラ・L ’93
’90年代初頭に子会社のホンダアクセスから販売されていたカブラキットを備えた1台。
大きく張り出した左側のカバーにはハーフキャップのヘルメットを収納可能。
写真は第30回の東京モーターショー展示車。
CITYカブ ’93
カブラL同様に第30回東京モーターショーに展示されたコンセプトモデルCITYカブ。
前後片手持ちのフォルムが何とも未来的。
デジタルメーターやATミッション、ベベルドライブを採用したモデルだが残念ながら市販化には至らず。
MD90 ’71〜
オシャレさもへったくれもない、働くバイクの代表格MD90。
’71年に90が発売され、50のリリースは’73年。
テレスコピックフォークやアップハンドル、前後に頑強なキャリヤを装備し、乗り降りを考え14インチ化されている。
ジョルカブ ’99
カブ系エンジンを載せ、カブの名を冠していれば派生車に入れてもいいでしょう。
若い層に人気のスクータージョルノにカブ系エンジンを搭載したジョルカブ。
フロア左側に設けられたベダルでギヤ操作を行う、最近あまり見かけない1台。
いかがだっただろう?
1・2・3で紹介した様々なカブ。現在もカブは進化し続けており、また海外でも派生系が生まれ続けている。
永きに渡り愛され続けているカブの動向を今後も見守っていこう。