ヒストリー

【偉大なる“発明品”の話(番外編)】スーパーカブのライバルたちはどんなメカニズムをしていた?

以下はカブのライバル車として登場したヤマハ・メイトおよびスズキ・バーディーそれぞれのクラッチ機構について見てみよう。

*下記は一部年式についての解説であり、当該シリーズすべてには当てはまらない可能性があります。

 

YAMAHA MATEシリーズ

’62年のMF2でカブ的外観となったヤマハ製モペットは、’60年代半ばにパイプハンドルのUシリーズとなり、初めて「メイト」のペットネームが与えられた。
数年で再びプレスハンドルになったUシリーズは、’71年にVシリーズに発展していった。
チェンジ方式にロータリーとリターンの切り替え式を採用していた。
後年には4サイクル・シャフトドライブのタウンメイトも併売され、郵政向けや新聞配達用(ニュースメイト)も存在。
’08年をもって全シリーズの生産が終了した。
写真は’73年型メイトV70。

メイトのクラッチは二次側(ミッション側)に取り付けられ、機能としては「遠心クラッチ」と「ワンウェイ機構」のみ。
発進時に自動的にクラッチをつなぐのは、3と4のローラーウエイトが遠心力でクラッチ板を押しつけることによる。
始動時などにクランクに回転力を伝えるワンウェイ機構は、図の6と7の部品。
機能は上記だけでシフト時の強制切断機構はなく、これは小排気量2サイクルゆえのバックトルクの小ささから、変速ショックを問題としなかったためのようだ。
とはいえ、クラッチを切らずに無理矢理変速することに変わりはない。
この点をヤマハでは「ミッションの送り機構を無調整化し、サービス性の向上を計りました」とうたった。

クラッチ板には1.2~1.6㎜の範囲で厚さ違いが3種類用意されており、メカニックはそれらを選択して、適切な透き間調整をする必要があった。
また、ローラーウエイトには一般的なストレート型と、ベアリングを内蔵した複合型が用意され、排気量ごとにそれぞれ組み込む数や位置が指定された。

 

SUZUKI BIRDIEシリーズ

カブのフォロワーが一気に増えた’60年、セルペットMAの発売からスズキ製モペットの歴史は始まった。
後継のME型では、シフト時に作動する電磁クラッチを採用したが成功作とはならず。
以降、フリー/スーパーフリーなどを経て発展し、バーディのペットネームが与えられたのは’73年から。
’83年には4サイクルエンジンを採用した4サイクルバーディーも併売。
写真は’77年型バーディ80。

バーディーは、「違う構造でカブと同じ機能を持たせる」ことに腐心した。
その最たるものがチェンジ時の強制切断機構で、カブに似たボール式のカムの動きをシーソー式のレリーズアームに伝え、そこからチェンジ専用のクラッチに伝えている。
この専用クラッチはプライマリードリブンギヤに内蔵され、ダイヤフラム型スプリングにより内蔵クラッチ板を圧着している。
凝り過ぎの感は否めないが、カブのパテントをかわしつつの、制約の多い開発過程だったと想像できる。
ちなみに、古い年式ではメイトとほぼ同様の構造を持つ、割り切ったシンプルなタイプもあったようだ。

クランクシャフトの回転はシュー式の遠心クラッチを介してミッションに伝えられる。
構造的には湿式であること以外、スクーターの遠心クラッチと同様だ。
図にはないが、キックシャフトからクラッチまでの動力伝達方法は何とチェーンである。

 

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モーサイ編集部

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