ヒストリー

ファンでなくても知っておきたい!? スーパーカブ雑学辞典:後編

前編でも多くのスーパーカブについての雑学を紹介したが、まだまだスーパーカブの雑学は存在する。

果たしてあなたはいくつの雑学を知っているだろうか。
早速続きを見ていこう。

(※本記事は平成21年に発行の「地球一バイク ホンダスーパーカブ50年の歩み」より抜粋しています。特に断りがない場合、記載データは2009年当時のものとなります)

→:前編はこちら

 

バイクのイメージを変えたキャンペーン

1950年代末からホンダはアメリカにバイクを輸出し始めたが、当時のアメリカには「バイクは不良の乗り物」というイメージが存在していた。
ホンダはそれを打破するため、「素晴らしき人(ナイセスト・ピープル)、ホンダに乗る」というキャッチフレーズを作り、スーパーカブのイラストと共に打ち出したのだ。

小さくて穏健なムードのスーパーカブを見て、アメリカ人はバイクの良さを再認識した。
つまりバイクそのもののイメージを好転させるという、歴史に残る名キャンペーンになったのである。

 

ウインカースイッチ上下スライドのワケ

現在のバイクのウインカースイッチは、大半が左手側に付いている。
しかしスーパーカブのウインカースイッチは右手側で、左右ではなく上下に動かす方式だ。

諸説あるが、スーパーカブは右手だけでも運転できるよう企画されており(出前の配達で左手に岡持を持っても運転可能)、その影響という説が有力。
超ロングセラーだけに今さら変えられないのだろう。
もっとも昔は、右側にウインカースイッチがあるバイクも多かったのだ。
ちなみにリトルカブのスイッチは左右に動かす方式である。

ちなみに2019年現在ラインアップされているスーパーカブ110/50のウインカースイッチは、オーソドックスな左側に変更されている。これは2009年に発売されたスーパーカブ110以降始動方式がセル/キック併用となり、スタータースイッチを右側に取り付ける必要があったためだと思われる。

 

ビーチボーイズの「LITTLE HONDA」

豊かな60年代のアメリカを象徴するようなバンド、ビーチボーイズ。
実はスーパーカブをモチーフにしたと思われる曲をヒットさせているのだ。

その名も「リトル・ホンダ」。
大好きな彼女とホンダの店に行き、小さなモーターバイクに二人乗りで、街を飛びだそう……という内容。
「ファーストギヤ、セカンドギヤ、サードギヤ」と、歌詞からも3速のバイクであることがうかがえる。
バイクのスリルと躍動感を、とても健康的に歌い上げた名曲なのだ。

 

左アクセルオプションの謎

1959年のスーパーカブのマニュアルから。
何と、スロットルグリップを左側に移すためのオプションパーツなのだ。

なぜそんなものが用意されたのか、今となっては不明である。
「新聞配達には右手がフリーなほうが便利だから」とか、「アメリカのインディアン(左にスロットルがあった)に乗り慣れた人のため」とか、諸説が存在するのだが……。
何より、これが実際に製造販売されたのかも分からない。
お持ちの方は編集部にご一報を!

 

スーパーカブ独特の機構“自動遠心クラッチ”

スーパーカブは「誰でも簡単に運転できるバイク」として企画と開発が進められた。
バイクの運転で特に難しいのが、クラッチ操作とギヤチェンジの操作。
そこでスーパーカブに盛り込まれたのが、自動遠心クラッチ。
エンジンを吹かせば遠心力でクラッチが自動的につながるので、発進もギヤチェンジも簡単なのだ。

スーパーカブの自動遠心クラッチは、左足のチェンジペダルを軽く踏むことで、半クラッチ状態も作り出せる。
ペダルを軽く踏みながらスロットルをあおり、高回転をキープして急発進、という芸当も可能なのである。

 

アメリカ名はパスポート

スーパーカブは世界中で愛されているバイク。
それだけに仕向地や仕様によっては、スーパーカブ以外の名前が付けられている場合もある。

たとえばアメリカへの輸出が開始された当初(1959年)には、HONDA50(ホンダ・フィフティ)という名前だった。
写真のダブルシートが付いたモデルは1980年代のアメリカ向けスーパーカブだが、パスポートという名前が付いていた。
なお、パスポートという名前は、後にアメリカ向けの4輪車にも流用されたりしている。

 

コンロッドがオイルポンプ代わり!?

エンジンというのは、内部をオイルで潤滑しないと、焼き付きなどの故障が起きる。
だから多くのエンジンには、オイルを圧送するためのポンプが付いている。

ところが初期のスーパーカブにはオイルポンプがない。
エンジン下部にたまったオイルをコンロッド(写真の部品)でかきあげ、オイルの飛沫を飛ばして潤滑していたのだ。オイルをかきあげる爪に注目。
初期のスーパーカブはOHVなので、カムシャフトがクランクケースの中にあり、割合に焼き付きにくいのである。

 

画期的だった樹脂製レッグシールド&フロントフェンダー

スーパーカブのレッグシールドやフロントフェンダーは、プラスチックでできている。
今となってはごく普通のことだが、スーパーカブが誕生した1958年ごろは、樹脂の射出成形の技術がようやく普及し始めたばかり。
安定した品質でプラスチック部品を大量生産するのは、まだ難しかった時期なのだ。

そんな当時、あれほど大きな部品を樹脂で製造するというのは、非常に画期的なことだったのである。
「プラスチックだから安くて簡単に造れる」というのは、現在だからいえること。
スーパーカブは本当に革命的なバイクなのだ。

 

ホンダの危機を救ったスーパーカブ

1950年代半ば。
ホンダは巨額の設備投資や、新型車の販売不振などで、重大な経営危機に直面していた。
優れた製品を造るため海外から精度の高い工作機械を輸入したものの、代金が支払えないほどの状況だったといわれる。

銀行からの融資でひと息ついたが、それだけでは根本的な解決にならない。
スーパーカブが発売されたのは、そんな状況下だった。
日本中のバイクメーカーの総生産台数が月に2万台だった頃、スーパーカブは月に3万台売れるメガヒットになり、大きな利益をもたらした。
ホンダを救ったのはスーパーカブなのだ。

 

カブはたくさんの子孫を生んだ

スーパーカブが大ヒットした要因のひとつは、高性能で低燃費で信頼性の高いエンジン。
ホンダはスーパーカブの空冷4サイクル単気筒エンジンを使い、別の車体に載せて、様々な派生モデルを造り上げた。
スポーツカブ、モンキー、CD、CS、ダックス、シャリイ、ゴリラ、R&P…と、挙げていくときりがない。

スーパーカブの累計生産台数に、これら派生モデルの台数も加えたら、とんでもない数字になることだろう。
地球はスーパーカブの星なのかも知れない。

 

50ccは日本だけ!!

日本は50㏄以下のバイクに対し、免許が取りやすいとか税金が安いとか、様々な特典を設けており、スーパーカブも50㏄が主流。
しかし海外に目を向けると、日本と同じような施策を行っている国は皆無。
だからスーパーカブの海外仕様モデルは、排気量100〜110㏄が多いのだ。

排ガス規制が非常に厳しくなった今、実は110㏄くらいのほうが燃費がよくなる、という説もある。
日本も原付免許で、せめて100㏄くらいまで乗れるようにならないものだろうか……。

 

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