ヒストリー

【平成バイク大図鑑6】アメリカンブーム、それは速さへのアンチテーゼだったのか?

アメリカンブームはカスタムから日米対決へ

ネイキッドとは別に、もうひとつの平成ムーブメントを巻き起こしたのはアメリカンバイクだった。スティード、ドラッグスター、街にあふれるカスタムバイク。やがてそれは規制緩和によって、本家本元の大流行を呼んだのである。

report●三上勝久
 

いつかはハーレー。そんな夢がかなった時代

ホンダ スティードが登場するまでの日本のアメリカンは、とてもカッコいいと言えるものではなかった。
全部とは言わないが、多くはロードモデルのシャシーとエンジンを流用し、アップハンドルにして段付きシートを採用した……オッサン仕様としか見えないものが多かったのだ。

アメリカンのスタイリングで重要である「ロー&ロング」とはかけ離れたスタイルが多かったことには理由があった。
当時はハンドルやシート、ステップの位置を制限する規制が存在していたのだ。それが1982年に撤廃されるまで、自由なデザインができなかったのである。
また、多くのモデルのエンジン特性もアメリカンというスタイルにそぐわないものが多かった。日本製のアメリカンは〝味〞よりも、低振動、低騒音、走行性能を生真面目に追求していたこともイマイチだった理由だ。

そして、88年に登場したスティード400/600は、それまでにないロー&ロングな……言ってみればハーレーによく似たスタイリングとし、位相クランクを採用して〝鼓動感〞を強調したエンジンを搭載。
登場時こそ人気は芳しくなかったが、レプリカブームが鎮静化すると人気が急上昇。

●スティード600

リジッド風に見えるリヤサスや、ゆったりとしつつ味のある乗り味、そしてサードパーティ製のカスタムパーツが多数リリースされ、結果的にはストリート系カスタムの一翼を担ったのである。

そのライバルとして96年に登場したのがヤマハ ドラッグスター400だ。
スティードよりもさらに低く長い、最初からカスタムバイクのように見えるスタイリッシュなフォルムに、前身モデルXV400ビラーゴの空冷エンジンをよりリッチな味付けにして搭載。
17年に生産終了が発表されるまで、実に20年を超える長寿人気モデルとなった。

近年のクルーザーブームの礎はこの2機種が代表格だが、現在のボバースタイルのルーツとも言えるホンダVツインマグナや、チョッパースタイルのスズキ イントルーダー、水平対向6気筒エンジン搭載のホンダ ワルキューレなど、実に多くのモデルがこの間に登場した。

●本格的なベースモデルを与えられ(パーツのさらなる大衆化もあり)さらに自由な発想で楽しもうと様々なカルチャーが花開いた。映画『イージーライダー』に登場したチョッパーのコピーから、ドラッグレーサースタイルまで幅広いカスタムが街にあふれ、その中からハーレーユーザーとなった者も少なくない


そして、そのような状況下の96年に大型免許取得の規制緩和があったことで、日本国内では本家アメリカンであるハーレーがかつてない人気となったのだ。

それまで、アメリカンスタイルのバイクを好んでいた老若男女はこぞってハーレーに乗り、90年代の終わり頃には過去最高の売上げを記録している。
同時にテンポラリーモデルだけではなく、ビンテージモデルまで含めたカスタマイズも定着。
それ以降、今日まで、国産クルーザーとハーレーはともに定番モデルとしてその立場を確立したのである。
 

→:次回【平成バイク大図鑑7】砂漠生まれの実力が旅を進化させた大型アドベンチャーモデルの台頭

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