アーカイブ

販売台数は11万台超!?「ホンダNSR250Rはどれだけ売れたのか?」伝説的2ストレプリカの真実

1988 NSR250R ホンダ ハチハチ

NSRは性能だけでなく、売れ行きもすごかった

ホンダ NSR250はいったい何台作られて、何台売れたのか? とある雑誌によると、1987年から1994年までの8年間の登録台数は10万6250台だそうだ。また、86-88モデルで車体PL、89-94モデルでLPLを務めた青木柾憲さんによると、1986年から1996年の11年間の生産台数は合計11万6736台だとおっしゃる。

では、イヤーモデルごとの内訳はというと、なにぶん最初の発売から30年以上も経っているので、なかなか確信的な根拠が見つからない。そこでホンダに問い合わせたところ、年度別の生産台数を教えてくださった。それとともに、各方面への調査を行った結果が次の表で、合算すると確かに11万6736台という数字が現れた。

ホンダ調べに対し、赤字部分が調査の反映を行った箇所。

*1:レース用F3車は通常、その年式の市販NSR250Rを完成車として製造した後に、それをHRCによってF3車へと換装して販売する段取りだったが、1989年のF3車NSR250RK-K(NH3M)は、最初からキットパーツを組み込んだF3コンプリート車として400台が製造されていた。上記表には、その点を反映している。つまり、1989年のNSR250Rは計19,488台となる。

*2:最終モデルのKV3Sの生産台数はホンダ調べに対し、当時の記録には65台少ない記載があったため、その点を反映している。


こうしてみると、88-89のMC18は合計4万6000台以上と圧倒的な人気で、1980年代終盤を駆け抜けたことがわかる。1992年も繰入れたMC21全体でも、まだ届かないほどだ。そんなNSR250Rも、1994年から始まった40ps出力規制には抗することができず、94モデルMC28の極端な生産台数減少は、モデル自体が非常に高い完成度を持っていただけに、少々物悲しさを感じさせる。

ともかく、NSR250Rはトータル11万6000台以上売れたのは間違い無いだろう。何しろ、販売されても登録されずに、そのままサーキット直行というような車両も少なくなかったはずなので、データの根拠が生産なのか、販売なのか、登録なのかで、その数は微妙に揺れ動くのである。

さて、イヤーモデルで見ると、やはり88モデルが圧倒的な数字だ。これに続くのが90-91のMC21で、ここでは3種類の開発コードが載っているが、これは90モデルのスタンダードとSP、そして91モデルに当てはまるSEモデルの合計ということになるので、単独グレードでは86モデルが2番目ということになるのだろう。

ちなみに当時の2ストローク250ccのレーサーレプリカの販売台数では、1986年がピークで(この時はTZR250が他を圧倒していた)、1989年がそれに肉薄する勢いで、ここではNSR250Rが圧倒的な比率を占めている。そのほかにも、当時の軽二輪(125超〜250cc)と二輪車全体の、ホンダ及び国内合計の出荷台数(また違う基準だ)もじっくり眺めてほしい。

■後に伝説となる「ハチハチ」は1988年1月19日に発売をスタート。写真のモデル、テラブルー×ロスホワイトのいわゆる「TERRAカラー」が標準色となり、こちらは2月25日発売。市販二輪車として例を見なかったコンピューター制御による「PGMキャブレター」など高度なシステムが新規導入された。

80〜90年代の販売動向

左から1988年型ホンダ NSR250R、1988年型スズキ RGV250Γ、1988年型ヤマハ TZR250。

■2ストローク250ccのレーサーレプリカの国内販売台数推移と、4メーカーの比率をまとめたもの。1989年を最後に全体が減少傾向にあるのは、カワサキのゼファーの登場と、Z1を中心としたカスタムブームの到来によるものだろう。1986年に他を圧倒していたヤマハ TZR250は1987年にあっさりとホンダ NSR250Rに王座を譲り渡しているが、グラフの変化の割合を見ると、前年までTZR250に乗っていたユーザーが、一斉にNSR250Rに乗り換えたと思われる。また、ヤマハは1989年に後方排気のTZR250を登場させるが、スズキを逆転できてもホンダの勢いには届かなかったのである。

■この当時の二輪車全体の国内出荷台数の大半は、原付一種・二種のスクーターによるもの。1982年からホンダ軽二輪が増加しているのは、もちろんVT250Fによるもの。その1982年をピークに緩やかにホンダと国内の出荷台数が落ちているのは、HY戦争の終結と無関係ではない。そういう環境の中にあって、1988年の軽二輪が盛り返しているのは、2ストローク250ccのレーサーレプリカというより、88モデルNSR250Rの影響なのだろうか。

レポート●関谷守正 写真●ホンダ/八重洲出版 編集●上野茂岐

*当記事は八重洲出版『11万6000台以上を販売したレーサーレプリカの実像 NSR250Rその進化と軌跡』の記事を編集・再構成したものです。

CONTACT

八重洲出版『11万6000台以上を販売したレーサーレプリカの実像 NSR250Rその進化と軌跡』詳細と購入
https://www.yaesu-net.co.jp/item/nsr250r-evolution-trajectory/

  1. 【バイク初心者】本格的なバイク整備はプロに任せる!でもこの『3つ』だけは自分でもチェックできるようになろう!【バイクライフ・ステップアップ講座/3つのセルフチェック 編】【Safety】

  2. 『Rebel 250(レブル250)』に「Honda E-Clutch」搭載タイプが登場!ユーザーの声をもとに熟成した新たな『Rebel 250』でツーリングを楽しもう!

  3. 寒い季節はグローブ選びが命! 冬場も走るベテランライダーが100%装着している『バイク用の冬グローブ』ってどんなもの?

  4. 【比較】新型『GB350 C』と人気の『GB350』の違いは?ざっくり10万円強も価格差……ちょっと高いんじゃない?と感じる人へ!

  5. 新型『NX400』ってバイク初心者向けなの? 生産終了した『400X』と比較して何が違う?

  6. 冬は寒いのになんでバイクに乗るの?実は『他の季節よりも○○な魅力』が5つある!

  7. ベテランライダーが『CBR650R E-Clutch』に乗って感じた楽しさ

  8. 寒い時期はバイクに乗らない人へ!愛車を冬眠させるなら「4つの〇〇+α」をやっておけばずっと長持ち!

  9. 還暦からセカンドライフをスタートさせた『Rebel (レブル)1100 <DCT>』のオーナー

  10. CL250はセカンドバイクじゃない。この250ccは『メインの1台』になり得るバイクだ!

  11. 定年後のバイクライフをクロスカブ110で楽しむベテランライダー

  12. CL250とCL500はどっちがいい? CL500で800km走ってわかったこと【ホンダの道は1日にしてならず/Honda CL500 試乗インプレ・レビュー 前編】

  13. 【王道】今の時代は『スーパーカブ 110』こそがシリーズのスタンダードにしてオールマイティー!

  14. 新車と中古車、買うならどっち? バイクを『新車で買うこと』の知られざるメリットとは?

  15. ビッグネイキッドCB1300SFを20代ライダーが初体験

  16. どっちが好き? 空冷シングル『GB350』と『GB350S』の走りはどう違う?

  17. “スーパーカブ”シリーズって何機種あるの? 乗り味も違ったりするの!?

  18. 40代/50代からの大型バイク『デビュー&リターン』の最適解。 趣味にも『足るを知る』大人におすすめしたいのは……

  19. ダックス125が『原付二種バイクのメリット』の塊! いちばん安い2500円のプランで試してみて欲しいこと【次はどれ乗る?レンタルバイク相性診断/Dax125(2022)】

  20. “HAWK 11(ホーク 11)と『芦ノ湖スカイライン』を駆け抜ける

おすすめ記事

E-クラッチ ホンダ CB650R CBR650R ホンダ二輪新技術「E-クラッチ」開発者にインタビュー「ATとは何が違う? クラッチレバーを残した意味とは」 バイクにも採用が進む(ホンダだけだけど)自動変速機「デュアルクラッチトランスミッション」って何だ? ヤマハ MT-07は「軽くて乗りやすい=疲れにくい」つまりツーリングにピッタリということでは!?

カテゴリー記事一覧

  1. GB350C ホンダ 足つき ライディングポジション

ピックアップ記事

  1. XSR900 ヤマハ 2025 アイボリー