変化に富んだコーナーが続く極上のワインディング
お薦めは秋田側からのアプローチ
おそらく岩手県側からアプローチするのが一般的だと思うが、私のオススメは秋田県側からだ。なぜかというと、秋田からアプローチするとまずは鬱蒼とした山林のなかを走るのだが、八幡平の山頂あたりに到達すると樹々がなくなって視界が急激に広がるため、岩手の雄大な景色をよりいっそうダイナミックに味わえるのだ。そのまま下って行くとふもと付近には銅山跡地があり、住居跡の廃墟を探索するのも楽しい。ワインディングは道幅も広く、高速コーナーが連続するため大排気量バイク向きだが、小〜中排気量車でも存分に楽しめる。ただし、時折タイトコーナーも出現するので要注意。必ずや往復したくなってしまうほど、気持ちのいいワインディングだ。(山下 剛)
点在する名湯も合わせて楽しめる
郷里の岩手を18歳で離れたので、初めて走ったのは20代の中ごろ。まさか郷里にこれほどダイナミックな山岳ワインディングがあるとは驚きだった。雄大な山岳風景と原生林、手つかずの自然をたっぷり味わえる全長26.7㎞の至福の世界。ヘアピンから中高速コーナーまで道は変化に富み、路面状況も平均レベルで、胸のすく走りが堪能できる。さらに露天風呂の藤七温泉、各種の変わり湯が古くから人気の後生掛温泉など、源泉かけ流しの名湯が点在しているところも見逃せない。走るたびに、ふるさと東北の素晴らしさを見せつけてくれる。まさにみちのくライダーの誇り。新緑から紅葉まで、季節の移り変わりを路上、露天風呂の両方で味わってもらえたら幸いだ。(菅生雅文)
観光地らしくない雰囲気も魅力
僕は10〜18歳を岩手県で過ごしたのだが、八幡平アスピーテ&樹海ラインの素晴らしさを心から実感できたのは、ある程度のツーリング経験を積んだ20代後半だったと思う。そのころの僕はすでに全国の著名なワインディングをたっぷり経験していたのだけれど、合計距離が約50㎞に及ぶアスピーテ&樹海ラインの爽快さは、"本州ナンバーワン?" という言葉が浮かぶほど圧巻で、雄大な景色を眺めながら中高速コーナーが続く良路を飛ばした僕は(景色はアスピーテのほうがいいけれど、舗装が超良好で交通量が少ないのは樹海ライン)、人生初の地元愛を感じることになったのだった。なお僕にとっては、観光地然とした雰囲気が希薄なことも八幡平周辺の美点だ。(中村友彦)