ツーリング

山岳路と新しい感動に出会う旅〜信州ツーリングレポ 飯田・高遠・佐久 Part1〜

『分断国道』と林道、絶景と川魚

3000m級の峰の数は日本一、1033mと平均高度もまた日本一となる信州はまさに山の国。その地理と歴史に惹かれ向かった先は「断層」と「分断」。その荒々しい言葉を裏切らない、冒険心をそそられる道が待っていた。

 

静岡県との県境にある青崩峠から国道152号を北上。地蔵峠、分杭峠など昔からの難所を越え茅野市で一息。そこから茂来山林道を走り、ごほうびの川魚料理を目指し佐久市へ

そこには信州の地形の秘密がある

国道152号。通称秋葉街道。北部は街道とも呼ばれ、静岡県浜松市から長野県上田市まで、ほぼ天竜川水系に沿って山間部を南北に伸びる道だ。静岡側から諏訪湖までは伊那谷のひとつ東側にある山稜をトレースする。

伊那谷(伊那盆地ともいう)は天竜川の河岸段丘ではなく、中央構造線による。さらには諏訪湖近辺で中央構造線と糸魚川静岡構造線が出会い諏訪盆地(やはり地溝帯)となり、信州の地形を形作っている。中央構造線とは、東日本と西日本の地質を分ける境界線で、つまりは巨大な断層地帯である。

152号は全国でも有名な分断国道で、静岡と長野の県境にある峠、そして飯田市北端にある地蔵峠では、車道が貫通しておらず、舗装林道で回する形になっている。高速道路網が整備される現代にあっても、数十年前どころか数百年前とほとんど変わらない場所だ。

理由は中央構造線による弱な地質=破砕帯(断層により粉砕された岩石帯)があるため、急な地形での道路敷設が困難だからだ。つまり、それだけ山深く、文明の到達速度すら鈍る地域でもある(ちなみに、破砕帯の崩れた岩が青っぽく見えるから〝青崩〟と呼ばれているのだという)。

青崩峠はおおよそ4㎞ほどの分断区間であり、そこをバイパスするには兵越峠を経由する山道を14㎞ほど走る必要がある

静岡県側から迂回路である兵越峠を経由し、長野県の青崩峠から152号をトレースし始める。タイトル写真の、渓谷沿いの山肌を這うように伸びるタイトな道。ここから伊那市の高遠町まで約100㎞、タイトな山道と爽快なワインディングが交互に続く。

青崩から152号をしばらく行くと、天竜川水系の川に沿って走る爽快な道が続く。山は深く、人家はまばらだ

途中には地蔵峠、分杭峠という交通の難所があり、走り応えのあるルートだ。同時に長野県の山間部では、〝人家なし、自販機なし、電波なし〟ということも珍しくないので、人里やガソリンスタンドを見るとホッとすることも少なくない。

もうひとつの分断区間である地蔵峠をバイパスするのは蛇洞林道(舗装路)。152号を北上していくと、ループ上のコーナーが現れる。それが合図だ。こちらも約14㎞ある

城下町である高遠町は伊那方面と茅野方面への分岐でもあるため、ツーリングの中継点とするライダーも多い。ここには美和湖というダム湖があるが、この湖はまさに中央構造線上に存在する。
実のところ152号沿線には中央構造線の露頭が数多くあり、『南アルプスジオパーク』として情報も整備されている。その中で高遠町北部の『板山露頭』は、152号からほんの少しだけダートを上がると(徒歩でもすぐだ)、色や見た目の全く異なった地質が出会う、中央構造線上の地質的な境界を間近に観察できるのである。

高遠の町を行く。ここには『道の駅南アルプスむら長谷』がある。芝生の中のベンチもあり休憩と付近の情報収集には最適

『道の駅南アルプスむら長谷』にある『パンや』ではミニクロワッサンが超人気で、20個〜30個と次々に売れていく。

日本列島の秘密を見るような板山露頭。奥の土は黒、手前の土は茶色と明らかに色が違う(中央にはV字状に堆積土が)

(続く)

モーサイ編集部

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