ヒストリー

昭和~平成と駆け抜けたCBとライバルたち(3)スーパースポーツの先駆け

CB750FとGSX、DOHCの普遍化

新たな伝説の始まり

CB750フォアの登場後、各社から強力なライバル車が続々と登場。なかでもカワサキのZ1は、ヨーロッパで人気のあった耐久レースにおいて目覚ましい活躍を見せ、マーケットにも多大な影響をもたらした。

水平対向4気筒エンジンを採用し75年に投入されたGL1000をはじめ、当時のホンダ車はアメリカ市場を強く意識していたためにスポーツ志向の強いヨーロッパのユーザーの心を捉えることが難しく、四輪の排ガス規制対応に精力を集中するために67年をもってレース活動を休止したこともあり、ヨーロッパにおけるホンダの地位は次第に低下。70年代中盤に危機的な状況に陥る。打開策として76年からヨーロッパ耐久選手権向けのレーサー、RCBをもってレース界に復帰し、「無敵艦隊」と呼ばれるほどの圧倒的な強さを発揮。3年連続でタイトルを獲得する。

その勢いを色濃く反映させて79年に投入されたモデルがCB900Fだ。「サーキット最速・最軽量のスーパースポーツ」という開発コンセプトで、最高出力95馬力を発生するDOHC4バルブエンジンをインテグレーテッド・ストリームラインと呼ばれる流麗なデザインの車体に搭載、発売開始とともに大反響を呼ぶ人気を博した。同時期にCBシリーズのフラッグシップとして並列6気筒エンジンを採用するCBXを投入、カワサキも80年に水冷並列6気筒エンジンのZ1300を投入したがいずれも主流とはなり得ず、「スポーツ車のエンジンは4気筒まで」という図式がここで確立する。日本とアメリカ向けには同型エンジンでトラディショナルな構成のCB750KとCB750F(最高出力68馬力)の2本立てで販売されたが、CB750Fが圧倒的な支持を受けた。

不滅の並列4気筒

だが80年代に入ると、世の中はバイクブーム、それに続くレーサーレプリカブームが到来。DOHCエンジンの4バルブに始まり水冷化やフルカウル化、リヤのモノサスやアルミフレームなど、1年ごとに技術革新が進む激しい開発競争が繰り広げられるようになる。CB1100Rの普及版として83年型で登場したCB1100Fもわずか1年(欧州は2年)でカタログ落ちとなる中、ホンダは82年に水冷V型4気筒DOHCエンジンのVFシリーズを投入。並列4気筒エンジン車に取って代わるかと思われたが、伝統の並列4気筒エンジンを求める声は根強く、83年暮れには徹底的に小型軽量化が図られたCBX650系のエンジンの拡大版=CBX750Fを発売。同時期に発売されたCBR400Fとともに第3世代のインライン4として、空冷最後の華を飾った。

 

1979 CB750F

「RCBのイメージを受け継ぐスーパースポーツ」をコンセプトに開発。DOHC4バルブエンジンがもたらす高性能やインテグレーテッド・ストリームラインと呼ばれる端正なデザイン、レースでの活躍により国内外で高い人気を得た

IMPRESSION

ナナハンの流れを大きく変えた1台

ナナハンと言えばパワーはあるが鈍重な身のこなしであったが、CB750Kが登場した時点で新しい時代に入った。鋭く吹き上がるエンジン、軽いハンドリング。大きさからは想像もつかないほど扱いやすくなったのだ。CB750Fは、この日集合した6台(GS750E、XS750スペシャル、Z750FX、GX750、CB750K)の中でもひときわ目立ち、真っ先にまたがりたくなる。1000回転からレッドゾーンの始まる9500回転以上までよどみなく回り、バンク角も一般市販車としては異例に深い。またがっただけでじっとしていられない気持ちにさせられる。(モーターサイクリスト79年9月号)


 

1978 CBX

今なお迫力ある並列6気筒マシン

レーシングマシンRC166で実績があった空冷並列6気筒エンジンの市販版であり、世界最速を目指したスーパーバイクとして登場。しかし軽量化を徹底したにもかかわらず大きく重い車体ゆえ、後に大型カウルを装備したツーリングバイクへモデルチェンジした


 

1981 CB1100R

レースで勝つための公道レーサー

プロダクションレースで勝つべく、CB900Fをベースとした耐久レーシングマシンRS1000の市販公道レーサーとして限定発売。エンジンから足周りまですべて手組みで生産されたこともあり、新車価格は200万円超と破格。1983年まで毎年モデルチェンジされた

 

79年9月号におけるテスト風景で、一番手前がCB750Fより一足先の78年12月に発売されたCB750K。OHC2バルブ系の最終型となるCB750FOUR-K(77年発売)の後継車で、アップハンドルに4本出しマフラー装備。派生モデルにアメリカンタイプのCB750カスタムや750カスタムエクスクルーシブがある

 

RIVAL

1980 SUZUKI GSX750E

GS750Eの後継車で、GSXの名が冠された最初のモデル。エンジンが4バルブ化され最高出力が69馬力に向上、混合気に渦を起こしてパワーアップを図ったTSCC、アンチノーズダイブフォークANDFなど画期的な先進技術が投入された

IMPRESSION

実にフラットなトルク特性

レスポンスのよいエンジンは2500~3000回転をホールドすれば実に力強く発進し、4000回転止まりの早めのシフトアップでもトルクの塊を感じる加速力を発揮する。従来のGSと全く違う部分であり、実にフラットなトルクを発生しているのを明確に感じ取れる。CB750Fもこのあたりの性能に大差はなく滑らかそのものだが、低回転域からの加速性能はGSXに一歩遅れを取ることになるーGSXは堅実なパフォーマンスを発揮する最速市販モデルであるが、スーパースポーツのムードという点ではCBに一歩譲らざるを得ないだろう。(モーターサイクリスト80年3月号)


 

1978 SUZUKI GS1000

歴戦を勝ちまくったスーパーバイク

GS750の後継で、スズキ初のリッターバイク。徹底的な開発テストが行われ高性能と耐久性を追求。ポップ吉村がこのプロトタイプをチューニングしたマシンで鈴鹿8耐優勝、デイトナやボルドールでも優勝するなどの実績を挙げた。写真は79年登場のGS1000S


 

1979 KAWASAKI Z750FX

Z2系エンジンの最終モデル

輸出仕様のZ1000MKⅡ同様のシャープで直線的なデザインのタンクやテールカウルが特徴。"角Z"や"フェックス"の愛称で親しまれた。初期モデルはZ2系エンジンを搭載するが、翌年登場のZ750FXⅡからZ650をベースとしたエンジン、通称"ザッパー"に変更された

 

81年6月号の750&400テスト。左端のCB750Fはこの年マイナーチェンジを受けて"裏コム"と呼ばれるブラックコムスターホイールを採用、最高出力を70馬力に向上させたモデル。その隣にZ750FX-Ⅲ、スーパーホークⅢ、GSX750Eなどが並んでいる

 

ナナハンも“重厚長大”から“小型軽量”へ

1983 CBX750F

名車CB750Fの後継車。油圧式バルブクリアランス自動調整機構や油圧クラッチなど整備周期を延長する装備のほか、ナナハン初の6段ミッションやバックトルクリミッターを搭載。2灯式ヘッドライトも特徴のひとつだ

IMPRESSION

耐久レーサーのような快適性

CB750フォアが発売されて以来、ホンダの4気筒は常にナナハンのリーダーシップを取り続けてきた。VFとはその個性に違いが見られ、低く短いハンドルバーにより上体が前傾したスプリントレーサーのような姿勢となるVFに比べて上体の前傾度は緩く、耐久レーサーのようだ。エンジンもひと味違ったフィーリングで、スムーズな回転上昇に驚かされるVFに対し、CBXはインライン4特有の力強さが見える。レッドゾーンは1万回転からで、CB750Fよりも500回転余計に回せるようになっているが、実際にはもっとよく回り、1万800回転までしかないレッドゾーンを振り切ってしまう。 (モーターサイクリスト84年2月号)

 

RIVAL

1981 YAMAHA XJ750E

XJR1300へと至る系譜にあるヤマハの空冷並列4気筒ビッグマシン。先代モデルの650ccから排気量を750ccへ拡大し、コンパクトで軽量なナナハンに仕上がっている。駆動方式にはシャフトドライブを採用している

IMPRESSION

見るためではなく乗って楽しむマシン

最高速度206.6km/hはライバルたちと比べて最速ではないが、GSXやCBとの差はごく数km/h。「200kgの車重と200km/hのスピードが、人間がコントロールできる限度のもの」というコンセプトを引き出すまでもなく十分なデータである。基本的には高回転型で、体感的なパワーバンドは7000回転以上。シューンと回るタイプではないが、十分なトルクを伴って吹け上がっていく感じで、1万回転くらいはなんなく回る。決してピーキーではなく、トルクのつながりはごくスムーズだし低速トルクもかなりある――XJは見るためのバイクではなく、乗って価値を感じるマシンだ。 (モーターサイクリスト82年2月号)


 

1982 SUZUKI GSX1100S KATANA

今なお斬新な優れたデザイン性

GSX1100Eをベースに外装を一新して大ヒットとなったスズキの名車。1981年のケルンショーでプロトタイプが初公開され、翌年ほぼそのままの姿かたちで市販された。デザインしたのはドイツのターゲットデザインで、日本刀をイメージした外観は今なお斬新だ


 

1982 KAWASAKI Z750GP

インジェクション採用の先進装備

サイドカバーには「GPz750」と表記されるが、車名はあくまでZ750GP。GPZシリーズが誕生する前に「GP」の名を冠された、ザッパー系エンジン搭載のマシンだ。燃料噴射にはインジェクションを採用し、メーターには液晶式のインジケーターも組み込まれた


 

1985 YAMAHA FZ750

世界初のDOHC5バルブを採用

吸気3、排気2の5バルブと45°に前傾させたシリンダー配置によって吸気経路を直線的にして出力を高効率化、さらに低重心化した「ジェネシス思想」を初採用。これらによってナナハン初の100馬力オーバーを達成したが、日本仕様は77馬力に制限されていた

 

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