ヒストリー

激闘! ヤマハワークスマシン「0W」のすごい歴史②

0W the History of Fame YZR500

早わかり・ヤマハワークス500の歴史②

 

エディ・ローソンが15歳の少年だったころ、最初のYZR500、0W20GPシーンに表れた。それから14年間。時が移り、人が変わるなかで、0W自身も絶え間なく進化してきた。そしてグランプリの歴史のひとコマ、ひとコマを演じ続けながら、0Wは0Wそのものの歴史を形創ってきた。波乱に満ちた歴史、しかし名誉ある、誇り高き歴史を……。

(本記事はモーターサイクリスト1986年12月号の記事を再編集して掲載しています)

 


オイルショックによる撤退とスズキの躍進

 

’74年、0W20のライダーとしてMVのエース、ジャコモ・アゴスチーニを迎えたヤマハ。そして翌’75年、アゴスチーニは0Wに初の栄冠をもたらすことになる。

しかし再び不運が0Wを襲う。’76年、オイルショックのためヤマハがワークス活動停止、この間に2サイクルスクエア4ロータリーバルブのスズキRG500がバリー・シーンの手でタイトルを奪ったのだ。翌’77年も、バリーとRGは連続タイトルを得たのである。

 

1977 0W35

バンク角を稼ぐため、左端のエキゾーストはシリンダーの背後を通って右テールカウル下に出るようになる。ホイールはキャストへと変更された。

 

 

背負わねばならない、たったひとつの「制約」

 

もともと0Wは、ひとつの制約を背負って生まれていた。それはヤマハ上層部の絶対的な指示、「量産車と無縁のメカニズムでレーサーを作ってはならない」という制約だった。

4サイクルMVを相手にしているうちはともかく、最新鋭のRGが敵となったとき、この制約は0Wにとって余りに重かった。ピストンリード吸入の並列エンジンを商品の柱にしていた当時のヤマハにとって、ロータリーバルブやスクエア4というメカは採用できなかったのだ。

開発チームは、従来のレイアウトでタイトルを奪い返すべく、並列エンジンの可能性をとことん追求した。その結果生まれたのが、排気バルブシステムYPVS(’78年後半から)であり、軽量化のためのアルミフレーム(’80年から)であった。

その努力を完全に結果に結びつけてくれたのが、ケニー・ロバーツである。’78年、初めてGPに挑んだケニーはアメリカ人初のチャンピオンとなり、以後’79、80年と3年連続で栄冠を手にするのである。

 

1978 0W35

排気デバイスであるYPVSがついた後期型の写真。右3気筒の排気だけエンジン下にたばねる手法は0W35と同様だ。スイングアームがアルミに変更となり、エンジン出力は105ps以上を叩き出した。この年、GP初参戦のアメリカ人、ケニー・ロバーツによってGPタイトルを奪取した。

1978 YZR750

ちなみにこちらは、F750世界選手権、デイトナ200用に作られたファクトリーマシン、YZR750のストリップモデル。’76年から78年まで投入された「0W31」である。’75年にF750へ投入されたYZR750(0W29)のエンジンとYZR500(0W23)をベースに開発された、YZR500の兄弟車だ。 1番シリンダーのチャンバーの取りまわしに注目頂きたい。取りまわし方法はYZR500も同様だ。

1979 0W45

カーボンファイバーのサイレンサーを採用した0W45。摩耗インジケーター付きブレーキキャリパーが、”市販車と共通のメカ”という方針を物語っている。
ケニー・ロバーツはテスト中に転倒し重傷を負ってしまうが、5勝を挙げて連続タイトルを獲得した。

 

1980 0W48

’78年〜80年、ケニーのマシンは黄色いヤマハインターカラーだった。この年から採用された角断面のアルミフレームは、機密保持のため黒く塗られていた(もちろんすぐにバレるが)。写真は前期型だが、後半戦のオランダGP以降は外側ニ気筒が後方排気の「48R」となる。 この年もケニーがタイトルを獲得し、3連覇を成し遂げることとなる。

 

しかし年々、ケニーと0Wの戦いは苦しくなっていた。この3年間もメーカータイトルはスズキであったことからわかるように、RGはGPで圧倒的な勢力となっていたのだ。

 

(激闘! ヤマハワークスマシン「0W」のすごい歴史③へつづく)

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