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【MCアーカイブ】ホンダNSR250R(1986年10月1日)

■TZR追撃!? ロードに飛び出したGPマシン

GPマシンの名を冠されただけではない。エンジンもフレームも、世界GPで鍛え上げられたNSR250譲りのホンモノ。市販レーサーRSとはうりふたつ。ゼッケンを 外し、かわりに保安部品を付けたようなNSR250Rは、ライバルを一蹴し、クラス No.1の座を狙っている。

※当ページはモーターサイクリスト1986年11月号に掲載されたインプレッションを修正し掲載したものです。価格などは当時のものが記載されております、ご注意ください。

(report●本誌・牧野 photo●桧山行由)

 

デバイスは可変バルブ

 

1986年の日本GP直前に発表された2サイクルクォーターのニューカマー、ホンダNSR250R。そのネーミングからもわかるように、レーサーNSR250のレプリカモデルである。

外観は過激というより、もうレーサーと区別がつかないフォルムと言ったほうが正しいくらいだ。

大きなエアダクトを持つフルカウルに、スポンジ1枚の大型シートカウル、そして、アルミツインチューブフレームがその間からのぞく様は、レーサーと何らかわらない。とにかく外観はNSR250をそのままコピーしたものといえる

 

さて、NSR250Rのパワーユニットだが、これもレーサーと同じ水冷2サイクルの90度V型2気筒だ。1軸クランクのこのブランニューのVツインエンジン、吸入方式は2サイクルレーサーの最先端技術といわれる、 クランクケースリードバルブ方式を採用している。

キャブレターは旧NS250RのようにVバンク間にセットされているのではなく、クランクケース背後にふたつ並んで配置され、レーサーNSRの方式を踏襲している。その2連キャブレターは、強制開閉式のフラットバルブタイプで、これもレーサーNSRから生まれたものである。

 

NSR250Rの熱い心臓は、水冷2サイクルの Vツイン。Vバンク角は90度で、1軸クランク、ケースリードバルブ吸入方式、そして電子制御の可変エキゾーストバルブの採用など、そのノウハウはまさに最先端のレーシングマシンのそれと、何らかわりはない。トグロを巻いたチャンバーや、前後上下長を短くするためにユニークな位置にあるプラグなどにも注目したい。

 

このエンジンで注目すべき点は排気デバイス機構だ。ホンダといえば、サブチャンバーシステムのATACがお家芸だったが、このNSR250Rでは、ATACではなく、排気タイミングを変化させる可変バルブ方式を採用しているのだ。この可変エキゾーストバルブは、RC(レボリューショナリーコントロール)バルブと名づけられ、コンピュータ制御で回転数に応じた排気タイミングを作り出すシステムである。

エンジン外観で見る限り、このRCバルブはヤマハのYPVSと同じような鼓型の可変バルブを、ワイヤーを介してモーターで作動させるタイプとみていいだろう(参考URL:http://www.honda.co.jp/factbook/motor/NSR250R/19890100/005.html)。

 

まるで4輪のタコ足のような取りまわしを見せる2本のチャンバー。シリンダーには可変エキゾーストバルブを作動させるワイヤーが見える。

 

ボア・ストロークは54.0×54.5mmのほぼスクエアタイプで、排気量は249ccのフルスケールである。シリンダーは内壁にNSメッキが施されたもので耐摩耗性には絶対の自信があるという。

面白いのはプラグの位置で、2サイクルの常識であるシリンダーヘッ ドの中心にはセットされていない。 まるで2バルブのOHCシリンダーヘッドのように、隅っこのほうへ逃がし、しかも斜めにセットされている。これはエンジンの前後と上下長を、少しでも短くするために考えられた措置なのだろう。

 

■乗りやすいレプリカモデル

 

NSR250Rのミッションは、俗にいうカートリッジタイプだ。コンパクトなクランクケース(もちろん横分割)とは別に、タテ割りでミッショ ンケースのみ分解することが可能で、 シリンダーやクランク関係をバラさずに、簡単にミッションのみ取り出せるというものだ。

これはGPレーサーなどの常套手段で、まさしくレーサーメカニズムのフィードバックといえよう。

NSR250RのVツインは、旧NS250Rとは比べものにならないくらい、軽量でコンパトだ。見れば見るほどレーサーのノウハウが投入されて生まれたエンジンであることがわかる。もうレーサーの匂いがプンプンする、そんなVツインだ。

さて、そのニューパワーソースを支えるフレームは、“目の字断面”をもつ角パイプからなるアルミツインチューブフレーム。その剛性の高さ は、CBRやVFRなどですでに実績がある。このフレームにVツインは20度前傾されて積まれている。これは可能な限り低重心化を追求したためで、’86年モデルのNSR250も同様の手法をとっている。

 

高剛性を誇るNSRのアルミツインチューブフレーム。ダイヤモンドタイプで、ヘッドパイプと ピボット部は、もちろんダイキャスト製だ。メインチューブと同じ太さはあろうかという、太いスイングアームに注目。このボディに水冷2サイクルVツインを積み、そしてこのNSRフォルム。 ストリートモデルとレーサーとの区別は、ますます困難となった?

 

ホイールサイズはフロントに17イ ンチ、リヤ18インチ。レースでの実戦を考え、リム幅も旧NSよりサイズアップされている。

ホイールはフロントが17インチ、リヤが18イン チという、現在レースで主流を占めているサイズが採用されている。S字断面の3スポークキャストホイールに、フローティングディスクブレーキは、レースでも強力な武器となろう。

 

旧NS250Rでは、少々ピーキーなエンジン性格が指摘され、ツーリングなどでは敬遠されたのも事実であった。しかし、低中速からスムーズに パワーが出るケースリードバルブ吸入方式に改められたNSR250Rでは、そのようなことはないだろう。最高出力と最大トルク数値こそ、まったくNSと変わりはないが、乗りやすさという点では、大きく進歩しているはずである。

 

1万1000rpmからレッドゾーンが始まるタコメーター。なかには水温計もセットされている。クリップオンハンドルは、アッパーブラケットの下部に付く本格派。このままレースに出場できそうだ。

 

ステップ、ペダル関係はホルダーをも含め、アルミ製という豪華さ。もちろんレースを意識しての装備である。

 

また、乾燥重量125kgという、このクラス最軽量の車重も見逃せない。軽い取りまわしは、ワインディングやサーキットなどで、NSRの強力な武器となるであろう。

ただひとつ、このNSRに注文をつけるとしたなら、そのエキゾーストノートだ。あのW・ガードナーが、 鈴鹿でこのNSR250Rに乗ってデモ走行したときに聞いた排気音は、頼りないのひとことだった。

旧NSとほとんど変わらないサウンドは、はっきり言って迫力がない。騒音規制値の範囲内で、もっと迫力あるサウンドを出してほしいというのはムリなことなのだろうか。いや、少なくとも他メーカーの2サイクル並みのサウンドを出してほしい、と言っておこう。

 

 

全日本GPで展示されていたNSR250R改レーサー。 F-3 &GP250仕様、との説明書きがあり、F-3 は当然として、250ccクラスでも高い戦闘力を発揮 する、というホンダの自信がうかがえる。レーシ ングキットはもちろんHRCから発売される。

 


 

■ホンダNSR250R主要諸元■

★エンジン 水冷2サイクルV型2気筒クランクケースリードバルブ ボア・ストローク54.0×54.5㎜ 総排気量249cc 圧縮比6.2 点火方式CDI 始動キック

★性能 最高出力45ps/9500rpm 最大トルク3.6kgm/8500rpm 燃費41㎞/ L(50km/h)

★変速機 6段リターン式 変速比 1速から2.642 1.800 1.380 1.125 1.000 0.916 1次減速比2.652 2次減速比2.800

★寸法・重量 全長2035 全幅705 全高 105 軸距1360 最低地上高135 シート高750(各㎜) タイヤF100/80-17 R130/70-18 乾燥重量125kg

★容量 燃料タンク16L オイル2.22L

●価格 55万9000円 ●発売日 10月1日

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